2023年11月末のとある日、東京大学本郷キャンパスを訪れました。
歴史的な建物と美しい紅葉のコントラストが楽しめる、人気の紅葉スポットです。
キャンパス内は一般の方も無料で散策できます。
江戸時代から存在していた「赤門」
本郷通り沿いの赤レンガの塀が見え始めると、東京大学の敷地です。
少し進むと、赤い立派な門があります。これが有名な「赤門」です!
大名屋敷の跡地だった
この立派な門は、単なる大学への入り口ではありません。
江戸時代から続く歴史ある建造物で、もともとは加賀藩前田家という大名家の門でした。
前田家は、今の東京大学がある場所に大きなお屋敷を持っていたんです。
屋敷のお庭の池が、大学構内に今も残る「三四郎池」です。
さて、話を赤門が出来た経緯に戻しましょう。
江戸時代、加賀藩のお殿様が、徳川家の姫君をお嫁さんに迎えることになりました。
お姫様のために建てられた立派な門が、今の東京大学の「赤門」なのです。
- 文政10(1827)年、徳川第11代将軍家斉の溶姫が、加賀藩第13代藩主前田斉泰に輿入れしたときの様子を、歌川国貞が想像を交えて描いた錦絵。
- 東京大学総合図書館所蔵『旧幕府の姫君加州家へ御輿入の図』
三度の大火を逃れて残った奇跡の門
江戸から明治に変わった激動の1868年。本郷春木町の火事によって加賀藩のお屋敷は全焼してしまいました。しかし、赤門は燃えることなく被害はありませんでした。
また、関東大震災でも東京大空襲でも「赤門」は焼けることなく残ったのです。
そこはまるでヨーロッパ
守衛さんにペコリとご挨拶して大学の正門をくぐります。
正門から安田講堂へと続くイチョウ並木は、見事な黄金色に染まり、まるで絵画のような風景が広がります。
秋の風に吹かれてできた「黄色いじゅうたん」がとても幻想的です。
このイチョウ並木は、1906年に小石川植物園から移植されたもので、樹齢約120年以上。
東京大学のシンボルマークであるイチョウの葉は、このイチョウ並木から来ていると言われています。
時空を超えたような体験ができる!
歴史ある内田ゴシック建築とイチョウ並木の組み合わせが楽しめます。
赤茶色の建物とカラフルな木々が並ぶ風景はまるでヨーロッパのよう、フォトジェニックです。
内田ゴシックってなあに?
内田ゴシックは、東京大学の建築学科教授だった内田祥三さんが考案した建築様式です。
その建物はどれも個性豊かで、歴史を感じさせるものばかり。
ゴシック様式を基本としながらも、日本の伝統的な要素を取り入れた独特のデザインで、日本の近代建築史においても重要な位置を占める貴重な建物なのです。
高い天井や大きな窓から光が差し込み、荘厳な雰囲気を感じることができます。
個人的におすすめなのは、法文1・2号館。繊細な装飾が美しく、アカデミックな雰囲気も素敵。
樹を大切にする東大の心を感じる建物
キャンパス内を散策していて、不思議な建物に出会いました。
屋根が大きくくり抜かれて、大木がにょきっとそびえ立っています。
樹を切ることなく保存した、東大の心意気が伝わってきました。
安田講堂の焼け跡はなぜ?
イチョウ並木をまっすぐ抜けると正面に安田講堂が現れます。
近づくと生々しい焼け跡があります。これは大学にとって歴史的な出来事を保存しているのです。
「安田講堂の焼け跡」とは
1969年1月に東京大学の安田講堂で発生した学生運動の激化による事件の名残を指します。
当時、東大紛争の一環として学生が講堂を占拠し、警察との激しい衝突が行われました。
内部が破損し一部が焼失する被害を受けました。
焼け跡は、戦後日本の学生運動の象徴的な出来事の一つとして記憶されています。
あざやかな紅葉が、水面に映る三四郎池
キャンパス内にある庭園の一部で、紅葉した赤や黄色の木々が池に映り込み、美しい風景を作り出します。
池のまわりには静かな雰囲気で散策にピッタリです。
学食やカフェも利用できます
本郷キャンパス内にはいくつかの「学食」や「中央食堂内のカフェ」があります。
紅葉散策のあとに温かい飲み物でほっと一息つくのも素敵な楽しみ方です。
ただし、学生や職員のかたが利用する「11時30分から13時30分は控えてほしい」とのことです。
今回は利用しませんでしたが、次回はぜひ訪れたいと思います。
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